広い土地の売却には、一つの区画として売却する方法と、分割して複数の区画にして売却する方法があります。

土地を分割して売却するには、分割登記、つまり「分筆」が必要です。たとえば、南側道路に接している100坪の土地を分割する際、接道が確保できない部分ができると建物の建築ができず、売却が難しくなるケースも。分割する際には、残った土地の利用方法も考慮することが重要です。

・「分筆」とは？

「分筆」とは、登記簿上で土地を分割し、地番を新たに取得することです。例えば、「1番地1」を2つに分筆すると、新たに「1番地2」といった地番が割り当てられ、独立した土地として売却できるようになります。

関連記事

＞＞土地の有効活用： 土地を分割して売却する場合の注意点

分筆を行う際、境界の確定や分割後の土地のバランスを考えることが大切です。不動産会社や土地家屋調査士に相談しないまま進めると、法令に抵触する土地になってしまうリスクもあります。以下の注意点に気をつけましょう。

・分筆できないケース

境界が確定していない土地や、最低面積を下回る土地は分筆ができません。また、隣接地の所有者と合意が取れない場合も、分筆の難易度が上がります。

・個人での分筆後の売却制限
個人が分筆した複数の土地を売却する場合、宅地建物取引業法の規定により業者免許が必要になるケースがあります。個人での売却を検討する際は注意が必要です。

・価値が下がる可能性

分筆後の土地が建築基準法に適合しないと、売却価値が大きく下がるリスクがあります。特に、庭を分筆して売却した結果、建ぺい率オーバーや接道幅不足になる例が典型的な失敗例です。

関連記事

＞＞広い土地の売却

土地を分筆して売却する際には、不動産会社や土地家屋調査士に相談するのが望ましいです。分筆案の作成時点で法令に適合するか確認し、売却プランに合った形で進めることが重要です。

・売却か買取かの選択

分筆後の土地を一般市場で売却する場合、買い手が見つかるまで時間がかかることがあるため、不動産業者による買取も選択肢として検討する価値があります。一般仲介よりも買取額は安くなる傾向にありますが、早期の売却が可能です。

関連記事

＞＞買取保証付き仲介とは

分筆を決めたら、以下のステップを踏んで準備を進めましょう。

・必要書類の準備
所有者情報や測量図、隣地との合意書など、分筆に必要な書類を揃えておくと、手続きがスムーズです。

・土地家屋調査士への依頼
境界測量や分筆登記は土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。調査士は隣地の所有者とも合意を取り、確定測量を行います。隣接する所有者との協力が不可欠なため、早めに信頼できる調査士を探すことが重要です。

・境界杭の設置と確認
分筆後、土地の境界を示す杭が設置されるため、確認作業も行いましょう。トラブルを避けるために、境界の正確な把握が必要です。

・費用について

分筆にかかる費用は、境界測量費や分筆費、地積更正登記費などが含まれます。この費用の領収書は、売却時の譲渡所得税の控除対象として利用できるため、保管しておきましょう。

関連記事

＞＞土地の売却時に重要な境界確定測量とは？