日本では長年、超低金利時代が続いてきました。

多くの買主は0.5%前後の低金利で住宅ローンを組み、比較的無理なくマイホームを購入してきました。

しかし、2024年後半から2025年にかけて、日銀の金融政策の見直しや海外の金利上昇の影響を受け、日本でも徐々に住宅ローン金利が上昇傾向にあります。

この「金利上昇」は、買主にとって以下のような影響を与えます。

・毎月の返済額が増える

・借入可能額（購入予算）が下がる

・物件価格に対してシビアな目を持つようになる

つまり、金利の上昇は買主の購買力を下げる要因となり、結果として売却のしやすさに影響が出てきます。

たとえば、3000万円の住宅を金利0.5%で購入する場合と、1.5%で購入する場合では、総返済額が数百万円単位で違ってきます。

当然、月々の支払いも増えるため、買主は同じ収入で「少し安い物件」を選ばざるを得なくなります。

このような背景から、2024年以降の中古市場では、以下のような傾向が出てきています。

・物件価格に対して買主がより慎重になっている

・価格交渉が前提のようになってきている

・駅遠・築古・設備が古い物件は敬遠されがち

つまり、売主側にとっては“売れにくい”市場環境になりつつあるということです。

不動産仲介業者や実際の売却データを見ると、すでに以下のような現象が起きています。

・査定価格よりも安く売却されるケースが増加

・売却期間が長期化する傾向

・早期売却を望む売主が価格を調整し始めている

特に、利便性が劣るエリアや、築年数が20年以上の物件では「価格勝負」になるケースが多く、競争の激化が見られます。

現在の市場では、「以前はこの価格で売れた」という過去の実績が必ずしも参考にならないケースが増えています。

特に「相場よりやや高め」で出している物件は、問い合わせが極端に減る傾向があります。

売り急がない場合でも、1〜2ヶ月経って動きがない場合は価格の見直しを検討する柔軟さが必要です。

金利が上がっても「欲しい」と思わせる物件には共通点があります。

・リフォーム・クリーニングで清潔感を出す

・ホームステージングで生活イメージを演出

・写真・図面をプロ目線でブラッシュアップ

こうした工夫で「価格以外の魅力」が伝われば、価格交渉の余地を残しつつも好条件で売れる可能性が高まります。

買主は、「金利が高くなって損をしたくない」と感じています。

この心理を逆手に取る形で、

・「価格交渉歓迎」など柔軟な姿勢を打ち出す

・「即入居可」など具体的なメリットを伝える

ことで、買主に安心感を与えることができます。